【1】銀行が行う融資には信用保証協会の保証付の融資とプロパー融資の2種類がある
銀行融資には、2種類あります。
一つは、信用保証協会に保証人になってもらって、事業資金の融資を受けやすくする方法です。
もう一つは、プロパー融資といって、信用保証協会をはさまず、直接銀行から融資を受ける方法です。
それぞれ、申し込み手順や特徴に違いがありますので、見ていきましょう。
まず、信用保証協会が保証人になるシステムを、保証付き融資と呼びます。
これには、いくつかメリットがあります。借主が返済できなかった場合、信用保証協会が借主に代わって、立て替えを行ってくれます。
もちろん、この制度を利用するに当たっては、信用保証料を信用保証協会に払っていなければなりません。
保証人は、法人代表者に連帯保証人になってもらうだけです。
確かに中小企業や小規模事業者にとっては、ありがたい制度ですが、当然資格が必要になります。
第一は、資本金や従業員などの規模です。業種によって、異なっていますが、資本金は最大3億円以下、従業員は最大900人以下となっています。
第二は、業種です。ほとんどの商工業が対象ですが、農林漁業や金融業の一部は対象外です。許認可や届け出の必要な事業の場合は、許認可をすでに受けているか、これから受ける必要があります。
第三は、区域・業歴です。各信用保証協会の管轄内で事業を行っていなければなりません。保証制度によって、業歴を調べる場合があります。
以上のような資格を満たせば、信用保証協会に保証人になってもらえます。
なお、限度額が設定されています。無担保保証の場合は、8000万円。有担保保証の場合は、2億8000万円です。
次は、プロパー融資です。こちらは、限度額はありません。
銀行の審査さえ通れば、相当な額を借入れできます。ところが、この審査がかなり厳しいのです。基準があるので、説明していきましょう。
まずは、決算内容です。提出された決算資料のチェックから始まります。
決算資料をコンピューターで、定量分析します。出てきた結果を、スコアリングといいます。自己資本比率や流動比率を分析したものです。
そのほか、税引き後の当期利益は特に重視します。自己資本のチェックも厳しいです。
でも、提出された決算資料をそのまま信じているわけではありません。
さまざまなマイナス査定が加わるからです。例を挙げれば、次のようになります。
・売上金の中に、回収不能な不良債権はないかどうか。
・在庫は適正水準か。水増しはないか。
・ムダな固定資産はないか。
・開発費や権利金などの繰り延べ資産はどれくらいか。
・出資金や長期貸付金などの長期前払い費用はどれくらいか。
・役員への貸付金はないか。
以上のようなものを差し引いて、正確な資産を出します。
後は、減価償却費や役員報酬などを見ます。
それから、経営者の人柄ややる気、経営戦略、後継者の有無なども考慮に入れます。
このような厳しい審査を経たのちに、やっと借り入れができます。そうはいっても、起業したばかりの事業では、なかなかローンは組めません。
そういった場合は、信用保証協会に保証人になってもらって、借り入れをすることが先になります。信用保証協会の保証を取り付けると、信用度が増します。審査に通る可能性も上がってくるので、こちらを優先しましょう。
それでも、銀行で借り入れをするのは、容易ではありません。まずは。少額のローンから申し込むのが、賢い方法です。
【2】銀行融資審査の際に必要になる担保とは何か?
事業者が、銀行から借り入れをする場合には、担保を出さなければなりません。
担保とは、債務者が返済を履行できない時に、受け取る保証です。
担保には、何種類かあります。
1.不動産担保
不動産担保の担保物件には、抵当権が設定されます。
抵当権は、登記簿謄本の権利部(乙区)というところに記載されます。
不動産担保では、不動産の価値とともに登記簿謄本で先順位についている担保価格が重要になります。
2.有価証券担保
株式、受取手形、社債、公債などです。
3.動産担保
船や自動車、航空機などです。
4.指名債権担保
預金債権、損害保険金、売掛金、工事請負代金、記名式信託受益権などです。
この中で、一番よく知られているのが預金債権です。預金担保とも呼ばれます。定期預金などが、担保として、提出できます。
ただ、最近の銀行は担保に頼りすぎることはありません。かつて、不動産担保に重きを置きすぎた結果、バブル崩壊で不動産価格が急激に下落してしまい、ひどい目に遭っているからです。
【3】銀行融資審査の際に必要になる保証人とは何か?
借り入れを行う場合は、会社の社長は保証人にならなければいけません。
保証人は、借入者が返済をできない時に、代わって返済を行わなければなりません。
返済に問題が生じたときは、社長自らの資産を取り押さえることになるからです。
それだけ、責任感を持ってほしいと考えてのことです。
これだけでは、十分でないと判断した時は、会社役員や第三者を保証人に立てることを要求してくることもあります。
保証人になると、保有財産を調べられます。